旅人は忍者である。
忍者は陽と陰の技を使い分ける。
肩書きを使えば陽忍となるが、裏の情報(インテリジェンス)は入らない。
肩書きを捨てれば陰忍となり、ウラとオモテの情報が入る。
旅人も忍者もコミュニケーターだ。
どちらも、勇気があり、弁術に長け、智力を備えている。
昼は話上手なひょうきん者、夜になると姿を隠し、どこにでも神出鬼没する。
旅人も忍者も裏の武芸者である。
どちらも肩書きや資格は要らない。
そもそも忍者の検定試験はない。
忍者はすべて有段者だから。
忍者にとり失敗は死である。
命懸けの行を積んだ忍者は問う。
英語道? 昇級・昇段試験で失敗しても命を失うことはないだろう、と。
忍者は城から図面を盗み出しても、城主を暗殺しても、評価されない。ましてや公表もされない。無私 ―― 。
名が知られることは、忍者社会(インテリジェンス・コミュニティー)では恥≠ネのだ。
評価を受けて喜ぶ武芸者は、面子を重んじるおサムライだ。
サムライが一番恐れる相手は忍者である。
忍者には失うものがない。忍者は捨てることを恐れない。
理想的な旅人は忍者である。
―― 沖縄旅行の前夜に書く
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