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遊読(Ludic Reading)の勧め 〜 後編 〜

人は簡単に英語に恋をする。そして英会話学校へ走る。
NOVAに通い続けたI氏(ICEEのチャンピオン)は、NOVAへ通う多くの日本人は、英語に恋している自分に恋をしており、別に英語が巧くなることが目的ではないから、NOVA族は英語ができない、と分析している。

だから、そこでネイティヴの先生に恋愛する女生徒がいても、すぐに英語にも、ガイジンに対する恋慕も、淡雪のように融けて消えてしまう ―― 高い授業料のように。
恋する ―― それは、空(はか)ないものだ。それで恋は状態か、なるほど。

英語を愛する行為はもっと神聖なものだ。淡雪ではなく、根雪でなくてはならない。
英語に対し、ドロドロとした雪融け状態の愛≠経験した私なら、遠藤周作の『恋することと愛すること』が言わんとしていることがよく判る。

このように考えると、1ページ読むのにも数十分もかかってしまう。
一日一冊をノルマに速読をやってきた自分がみじめになってくる。
量より質ではないか。

私の視力も弱ってきた。すぐに疲れ眼をかばうように眼を伏せてしまう。公開ディベートトレーナーコースの時撮った集合写真で、私が眼をつむっている写真が多く、それを見た時にハッと気づいた。

来年はludic readingに切り換える。
これまでは、syntopical readingといって、一つのテーマを決めると、数十冊の類書をカルタのように並べ、同時につまみ読みをして、思考をまとめながら書いたものだが、それもプレッシャーがかかる。

もっと肩の力を抜いて、多くのバラバラのテーマに思考を解放させ ――トピックをも固定させずに―― 遊びながら読むのはどうか。
そうすれば、年間300冊が、いずれ3000冊の本との縁≠ェできる。

触れあいの心(touchy-feeliness)で、手にした本をすべて隅から隅まで読むのではなく、縁≠フある(connected)部分だけを読むことにしよう。
これが来年から流行る私の新語「遊読」である。

ここまで長い道程であった。今年は真面目に読み、300冊に近づいた。英語道七段の証明として、自分自身を誇らしく思うが、その結果、眼を悪くしてしまった。
次回は、これら300冊以上の中から、if思考を用いたベスト10を発表する。

2007年12月28日
紘道館館長 松本道弘