::松本道弘 巻頭言
::例会報告
::松本道弘プロフィール
::紘道館とは?
::英語道とは?
::館長ブログ
::松本道弘 日記
::斬れる英語コーナー
::書き下ろしエッセイ
::松本道弘著作集
::講義用テキスト(PDF)
::松本道弘対談集(動画)
::ナニワ英語道ブログ
::日新報道
::TIME asia
::ICEEコミュニケーション
  検定試験
::ワールドフォーラム
::フィール・ザ・ワールド
 
お問い合わせ先

南方熊楠と語学道 〜 その2〜

革命家・孫文(孫逸仙)は、南方熊楠とは英語で会話をしていたが、別に熊楠の語学力や博識に惚れたのではない。
人間性(magnetic power)に惚れたのである。

当時、日本の政府は、孫文を危険人物として見ていた。
しかし、太っ腹な熊楠は、そんなことは意に介さずつきあった。
とくに両者とも西洋文化嫌いという点で意気投合しあっていた。

それだけではない。
『大博物学者』の著者、平野威馬雄によると、熊楠は孫文の革命を助けたという。
「いや、かくて、熊楠は孫文を救ったのだ。支那が今日あるのは、間接に言えば南方翁のお蔭とも言うことが出来るであろう。」(『大博物学者』(リブロポート)P.125)

だから孫文は、和歌山まで来たのである。
猫グスと呼ばれるほど猫好きな変人・熊楠には、こんな侠客的側面もあったというから、不思議だ。ますます惹かれる。

猫好きといっても半端じゃない。真冬でも真裸で、猫と寝る。
まるで炬燵代わり。猫と寝食を共にした。
食べものを口移ししたというから、猫可愛がりどころじゃない。
まるで愛人。負けた!

その熊楠は、語学の天才。私など足元にも及ばない。
その秘訣は、と聞くと、「酒」という。

語学に関しては、英語を中心にヨーロッパ言語をほとんどマスターし、ラテン語まで自由に駆使したというが、それも彼の生業(なりわい)の酔狂と遊読=iラテン語でいうludic reading)によるところが多い。

その3に続く。

2008年2月5日
紘道館館長 松本道弘