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空気の読めない人 〜 その3 〜

その朝、緊張のあまりいつもより早く眼をさました。
ジャパン・タイムズを読んだ。朝青龍の記事が出ていた。
You gotta love me or hate me.(嫌うなら嫌っていいぞ)というネイティヴ・ジャーナリストの斬れる英語表現にしびれて、「よぉーし、これだ!」と、今日は悪役を買って勝負に出ることにした。武蔵なら、「松本よ! 陰を動かすのだ」と忠告するだろう。

NHK『英語でしゃべらナイト』を観たT氏(中国語・韓国語通訳案内試験道場主)からこんなコメントを頂いた。

「ここまで考えて、松本先生のジャーナリスティック・インタービューアーとしての凄さを思い知らされた。松本先生は見抜いていたに違いない。パックンの衰えない英語の裏側に真摯で地道な努力があること、そしてそれこそが先生の視聴者に対するメッセージだったのだ。軽いノリで英語を学ぶよう視聴者にしむける番組で、英語は地道にコツコツやりなさい、といってもカットされるのがオチだろう、それをパックンの口から言わせる、この芸に気づいた視聴者は少ないだろうが、パックンの勉強する姿がどれだけ視聴者を発奮させるか計算し、ゲストでありながら影になって司会者のパックンを持ち上げた」

そこまで見抜いていたとは恐れ入った。紘道館の例会報告を書いている松崎辰彦編集長と全く同じ観方をしている。
両者の空気を読んだコメントで、心が洗われた。わかるやつにはわかる。It takes one to know one.

このT 氏は、紘道館にちょくちょく現れる異色のサムライ通訳士だ。中国語・韓国語・英語そして日本語(標準語と出雲弁)を使い分ける語学の天才で、私も彼から学ぶところは多い。

このような奇才たちが、どこからともなく「頼も――」と門を叩いてくるから、electricityの火花が散る。紘道館は狭いところだが、まさに巨大なゼロ磁場だ。
2008年3月21日
紘道館館長 松本道弘