森光子(87)は舞台芸人である。舞台『放浪記』の主役を演じ続けて47年、舞台に上ること1900回という。これからも演じ続けるというから究極の芸人である。
英語道を歩み続けている私も芸人である。
68才になったばかりの私にとり、舞台の鬼、森光子は雲の上の存在である。
両者を結びつけるのは“芸”。
舞台芸術と英語道も科学ではない、“芸”である。
まず生命としての“芸”がある。そこから科学が派生する。
芸となれば、それが「行」になる。それが続くから「道」になる。
金メダルをとったから、引退することは、芸人にとり逃避である。
スポーツの世界はそれでよい。
武道家の私には、経験不足で理解しがたい世界だから、触れない。
森光子は、今も健康に気を配る。
毎日ヒンズースクワットを150回続けているという。
3時間45分に及ぶ舞台を続けるにはスタミナがいる。芸で闘い続けている私も、毎日忍者体操をしている。
それにしても、森光子は医者から「太陽に当たらないでもらいたい」と注意されているというから、肌の色にも気を配っている。
質問も鋭いが、答えはもっと鋭い。世界に通じるプロ・インタビューアーを目指す私には、いい手本になる。
「飽きませんか?」
「飽きません」
「振り返って…」
「まだ振り返りたくない…」
「いつまでやるおつもりで?」
「観客がいるかぎり…」
「舞台とは?」
「命より重い」
その2に続く |