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日本人を裁く「空気」 〜 その1〜

表に出る人間はやっかまれる。そして叩かれやすい。『噂の眞相』と訴訟した人は、表の人ばかりだ。表の人と裏の人とのジェラシー・バトルは、どちらが「空気」を味方にするかで勝負が決まる。そう「空気」。日本人を裁くのは「正義」ではなく、「空気」である。FeelingsであってLogicではない。

世に出るには、「空気」(climate)を変える大物(change agent)が必要だ。
私も無意識に、高く出ようとすれば低く振舞う。
NHK『英語でしゃべらナイト』の収録時、「先生は英語で間違うことなんかないでしょうと」隣のゲストからいきなり持ち上げられて、慌てた。

ゲストの一人の大西泰斗先生は、さわやかなキャラクターで、嫉妬深い人間ではない。いやだれかを嫉妬する必要のないほど、表舞台でモテモテの人気講師である。羨ましくないといえば嘘になる。

もしこの人がネクラなら、私をホメ殺しすることだってできる。「先生の英語は完璧でしょう」、という投げキス発言をされ、イエスと答えれば、必ず2チャンネラーが騒ぐ。それがわかっていればホメ殺し(kiss of death)など簡単。

松本道弘の英語には品格がないとか、こんなところで間違った等々と攻めてくる。血の臭いを嗅ぎつけてサメが群がってくる。「あの英語界の妖怪を倒せ」とばかり、bloodyなmedia frenzy(炎上)が始まる。にわかに浮上した有名人をたたき落とすことなどわけがない。空気の中のシャーデンフロイデを裏で利用すればよい。

表の人間はそれをよく知っている。
そのシャーデンフロイデを逆利用した、ハリウッドの名優がいる。
その名はジョージ・クルーニー。映画『オーシャンズ13』『ER(緊急救命室)』等でかっこいいスターとして今も君臨している。かつてのタイロン・パワー、クラーク・ゲーブル、グレゴリー・ペックか。

黒人俳優がいなかったころの美貌スターの再来か、とTIME(March 3, 2008)まで絶賛している。私などこんな美男俳優を見るたびに、そのうち刑事コロンボに足をすくわれるのではないか、と余計な心配をしてしまう。

その2につづく

2008年5月13日
紘道館館長 松本道弘