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日本人を裁く「空気」 〜 その4〜

叩かれても、叩き返さないのが自然体。
この自然体を、TIMEの品格英語に置き換えれば、effortlessness だ。これは努力の欠如という意味ではない。オレがオレがというエゴがeffort。そしてそのeffort という肩の力を減少(less)させることを自然体という。

私はこのeffortlessな態度で語った。
ある朝、アメリカのホテルのフロントから電話がかかってきた。
“Morning papers, sir ? ”とネイティヴ英語で起こされた。ヨーロッパから着いたばかりで、時差ボケが続いている。モーニングペーパーと聞いて、ついでに“Morning food, too ”と答えてしまった。不覚!その時、電話の声は“You mean, breakfast? ”であった。目が覚めた。

朝食がブレックファーストぐらいのことは、日本では間違ったことがない。その英語界の武蔵が外国でとんでもないミスをした ――。
この失敗談でスタジオの空気がなごんだ。

あとはマイペース。もし私が「その通り、大西先生。私は世界中どこでも英語によるコミュニケーションで苦労したことはありません」と豪語すれば座を白けさせたことであろう。空気を敵にしては勝てない(とくに日本では)からだ。

空気に身を委ね、エゴを抑えることが自然体であれば、「自然に振舞え」は、Be yourself.ではない。Act natural.でもまだ紛らわしい。むしろPlay effortless(ly).ではないだろうか。ゲストであってもホストのように振舞うジョージ・クルーニーから学ぶことがあった。 

 

2008年5月23日
紘道館館長 松本道弘