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狼に戻れるか 〜 その2〜

元とは「中国の王朝の一。蒙古帝国第5代の皇帝忽必烈(フビライ)が1271年に建国。首都は大都(北京)。のち南宋を滅ぼして中国を統一。高麗(こうらい)・安南・タイ・ビルマなどをも従えて、大帝国を築いたが、1368年、明の太祖・朱元璋(しゅげんしょう)に滅ぼされた」(広辞苑)のこと。僅か100年近くの政権とはいえ、よくもここまで勢力範囲を広げたものだ。

狼の血だ。朝青龍、白鵬という両横綱もモンゴル狼の血だ。血気盛んなレスラーの血だ。
その反面、大自然に対しては謙虚である。モンゴル人の師は狼だという。人とウルフの共存共栄なくして、大草原を守ることはできない。

テンガー(神)はフェアである。狼の食べ残しを人間が、そして人間の食べ残しは狼に戻る。人が死ねば、空葬(スカイ・ベリアル)で、狼に戻す ―― 感謝の気持ちで。独り占めが許されないのが大自然のルール。カネが通用しない精神的な「和」の世界だ。

狼は頭がいい。このことは、ナニワ英語道ブログでもちょっと触れたが、集団となれば、超人的なパワーを発揮する。
狼は飛ぶという。狼男の話ではない。モンゴルの人たちは本当にそう信じている。
狼よけに人間が建てた高い塀を軽く飛び越すという。

しかしそれにはカラクリがある。奇特なアルファウルフ(中心的リーダーのこと)が、自分の背中をバネに飛び越せと命じる。集団がまるで飛んでいるように、壁の中に入り、羊を殺し、出る時は羊の死骸を束ねてその上を飛び越える。
この集団の知恵には誰しも脱帽する。

殺しも空腹の時に限る。無益な殺生はしない。狼は資本主義者ではないから、環境を守る。
草食動物の羊を肉食動物の狼が食い殺す。なんて残酷な!と中国人の知識人は反論した。
しかし、モンゴルの長老は再反論する。
「君は勘違いをしている。モンゴルの天地は自然そのもの。この大地。この大地から生育する草は生命。その生命を草食動物が殺す。ガゼルも羊も残酷だ。その犯罪者をコントロールするのがウルフだ。」

その3につづく。

2008年6月24日
紘道館館長 松本道弘