::松本道弘 巻頭言
::例会報告
::松本道弘プロフィール
::紘道館とは?
::英語道とは?
::館長ブログ
::松本道弘 日記
::斬れる英語コーナー
::書き下ろしエッセイ
::松本道弘著作集
::講義用テキスト(PDF)
::松本道弘対談集(動画)
::ナニワ英語道ブログ
::日新報道
::TIME asia
::ICEEコミュニケーション
  検定試験
::ワールドフォーラム
::フィール・ザ・ワールド
 
お問い合わせ先

同時通訳とバイリンガリズム 〜 その2〜

二十歳までロクに英語が話せなかった私が、バイカルチャリズムの道を歩もうという気になったのも、西山千という天才同時通訳者との出会いによるところが多い。師はネイティヴ以上のネイティヴといわれながら、両言語ともパーフェクトに活かされたから、帰国子女が話すバイリンガル英語とはほど遠い、エリート・バイカルチャリズムの道を歩んでおられた。

そんな名人についていくわけだから、中途半端な英語ではだめだ。日米両文化の懸け橋になる英語とはどんなものか。
ここで武器としての英語について触れてみたい。

英語は英単語から始まる。単語カードに書き込み、記憶していく。
これは、「点」の段階である。この点がセンテンスとして動き始めるには文法やロジックが要る。そして「線」になる。

言語学(リングイスティックス)といえども、聴き取れなければならないから、そこに音韻学(フォノロジー)が加わる。線の延長は異文化コミュニケーションだ。ネイティヴと英語で話しがしたい、ところがここで英語のシンボルが食い違ってくる。

snake oilと聞いて、蛇の油ではピンとこない。ああ日本でいうガマの油か。frog oilを使うより、英語ではスネーク・オイルの方が通じるのだ、という発見は、意味論(セマンティックス)の分野で扱われる。

これは、まだ平面を扱う二次元の世界。点と線は次元の数が一つであるから一次元。教室で学ぶ日本の英語教育は多分一次元止まりであろう。
通訳者や翻訳者が学ばねばならない意味論は、二次元に入る。だから、カエル油がヘビ油に変わったりすることがある。その意味(こころ)は、どちらもインチキ臭いだ。

その3につづく

2008年7月11日
紘道館館長 松本道弘