瀬波温泉の中でも最古の大和屋旅館
こだわりの宿がここにある ―― 初代の精神（こころ）
百年間、掛け流し続けている

ちょっぴり塩味がする
このほろにがさ、こだわりの心
女将、そして仲居の気くばり

旅人はこだわらない
しかし、文筆家の私はこだわる
一日一本のエッセイを書き始めて二十〜三十年
十三歳より、毎日続けてきた当用日記
これもこだわり

こだわる男は、こだわる執筆先を選ぶ
海が見えなくたっていい
インターネットの接続ができなくてもいい
どちらかにこだわりの心があれば、ペンが癒さればそれでいい

鮭も旅人
瀬波温泉のある村上（新潟）
この地域の名所を一つ挙げよといわれると、やはり、イヨボヤ会館か

鮭の一生がわかる
太平洋を回遊して、母川に回帰する
気が遠くなるような長い旅

三面（みおもて）川の勇士・青砥武平治が鮭の研究をした
藩の財政を建て直した、村上藩士
越後の二宮尊徳がここにもいた

産卵の旅を終えてホッとして死ぬ
それまでは死ねない
この村上藩士も鮭も、何かを残したいというこだわりをもった旅人なのだろう
旅人は鮭のような遊魚なのだ

イヨボヤ会館のHPはこちら↓
http://www.city.murakami.niigata.jp/kanko/sake/aoto.html