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B型人間とネコ 〜 その4〜

B型は大胆な発想をする。
「日本の人口は半分ぐらいがいいでしょう」と。
ええ?少子化に悩んでいるこの国が半分になったら、と人は常識的に考えるが、B型には常識が通用しない。私も口をはさむ。

「南伊豆で会った丸山直樹というオオカミ博士は、人口は1/10でいい、日本は1000万人が適性人口。そこまでいけば、日本の森は守れます、と仰っていましたよ」
「なるほど、1/10でもいいか」
思考がぐにゃぐにゃなのである。節操がないのではない。こだわりがないのである。

いやそうでもない。B型人間は一点においては、きわめて非妥協的だ。
いったん、知的好奇心が何かに停泊すると、神経質なほど拘泥する。意地も張る。

同時通訳の師匠であった、故西山千名人も、神経質なB型人間であった。
日本通訳協会の創始者・向鎌治郎氏もこだわるタイプのBだ。完璧主義者の氏は今でも爪を噛むクセがある。氏がこだわった『通訳訓練テープ』には、同じくこだわる西山千氏をレギュラー講師に招かれたという。

神経質で気の短い西山千氏は、仕事がやりにくい相手だが、この名人でなきゃできないというこだわりの心から、ずっとメイン講師で通したといわれる。
西山名人のこだわりに関しては、『同時通訳の名人』(角川学芸出版)で縷縷書き綴ったので省くが、B型人間とは要するに、近くにいると側近は疲れるが、少し「間」があれば、最も快適な存在だといえる。

そう、酸素になる。だがマイペース。一緒に仕事をすれば活性酸素(フリー・ラディカル)―― こっちが振り回される。
私の亡き父もB型。呼吸が合い過ぎて、爆発し、別れることになった相手は、たいがいB型。元日興證券の中山好三社長もマイペースのB型人間だった。

ネコとはチームワークが組めない。
お互い期待さえしなかったら、長いつきあいができるのに。

2008年8月19日
紘道館館長 松本道弘