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AB型はスパイダー 〜その5〜

あっという間に、逆に当てにされてしまう。私の代表取締役時代、一人だけ稼いでくれた参謀がいた。西部直樹(今、ディベートを教えている)というAB型人間だ。アントニオ猪木も疑いもなくOPM人間。Other people’s moneyで勝負し、自分のペースで芸術性を高めていくタイプ。自分のカネを使わずに、ビジネスをする人にAB型が多い。

アントニオ猪木と二人でコーヒーを飲んだ。かなり荒れた様子だった。佐川急便との資金のもつれがあったのだろうか。何の取り引きがあったのだろう。AB型と縁が切れる時は金銭のもつれが多いと聞く。

O型の大山倍達氏と二人で話をした時とは、まるで話の流れが変ってくる。大山氏とは武道家同士の話になる。「日本人は道を忘れている。道の中に術があり、術の中に、流派があるべきだ。なのに日本では、流派の中に、術、その中に道がある。アベコベだ」と。

武蔵先生と敬語を用い、気取ることはなかった。ガチンコの人生を生きてこられた。政治の話は一度もしたことがない。ご本人はいつも政治的に負けていた。アントニオ猪木と組めばK-1は天下をとっていた。

アントニオ猪木とは、武道そのものの本質について話をしたことがない。その周辺の話が多かった。天才であったことは認める。国際的な視野に立って語られる政治家だと思った。英語もペラペラだし、期待もしていた。

だからこんな発言をした。
「猪木さん、リングへ戻ろうなんて考えてはいけませんよ。国会での論議は、言葉とロジックですよ。ディベートなら私が教えます。リングへ戻る気持ちがどこかにあれば、公職はつとまりません」

彼は最後まで私の顔を見なかった。そしていつの間にか、政治をやめて、マスメディア人間に戻った。AB型の限界か。
AB型の特長を示すには、こんな比喩はどうだろうか。私にしては上出来だと自負している。

あの山の頂上に向かって、競争をしよう、と誰かが言い出す。A、O、B、ABが全部揃っているからまるでどこかのチャンネルの血液型選手権のようなものだ。多分、言い出しっぺはB型だろう。

O型はおもしろい、とすでに闘志をむき出しにしている。
その間、A型は黙って聞いている。だれが出場するか、負けて恥はかきたくない。結構考え込んでいるのだ。一番最後に意思決定する。わかったやる!

ヨーイドン。

最初から、五合目まではB型がトップ。その頃にBは気が変っている。人生の目的は競争で一位になることではない。この時間を無駄にせず、いろいろ他にも学ぶことがある。もう環境や生物学の研究を始めている。かと思えば、夜空の星を眺め、あの天空が人類に教えてくれるものは何か、もう禅僧になり切っている。頂上を極めるというゴールなどとっくの昔に消えている。

O型は、一旦決めた目標は最後までやる。ドーベルマン・ドッグ。ただ休みがいる。いつまでも一番でいると疲れてくるのか。休息をとろうとして、一眠りする。その間に、A型に抜かれている。

その6につづく

2008年12月2日
紘道館館長 松本道弘