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男の時代 〜 その1 〜

さて、男の時代に移ろうかとペンをとったとき、FOXのインターネットのRed Eye番組から、聞きなれない英語のセリフが耳に入ってきた。私はながら族(マルチタスカー)で、ペンをとりながら、英語ニュースを耳にしている。

さて、その英語は、She had it coming. (自業自得だよ、あの女め)
He had it coming. は、映画『シカゴ』で何度も耳にしたセリフ。
浮気した男を射殺した女が獄中で歌う。He had it coming.
(悪いのはあいつよ、殺されて当然)

HeがSheに変っている。それでふとペンが止まったのだ。
日本で耳にする言葉ではない。女の罪には触れない。女に罵られても「男は黙ってサッポロビール」。このコマーシャル、古過ぎたか。

男が言い返したら、男を下げる。男はいつもいじめられっぱなし。
暗黒時代のシカゴは、Crime pays.(犯罪はビジネスになる)の時代だった。男を殺した女たちが歌いまくれば、カネが稼げた。

ちょっとの浮気で殺されても男は同情されない。浮かばれない。セクハラ裁判では、男はほとんど負ける。「それでもボクはやっていない」といっても、信用されない。声を高めれば高めるほど、「ほら、やましいところがあるから、あれだけ必死に反論するのだ、見苦しい」と。

男と女のバトル。男は負ける。女が泣いたら、とく女に甘い日本はそうだ。
「泣いたら」はifではなく、whenなのだ。
Whenだから、間違いない。(このwhenとifの違いを書いた『IF思考』(光文社)が、力作すぎたのかまったく売れなく弱っている。バトルの時代にifは強力な武器になるという、乱世向きのバイブルなのに)

男は負け続けるのか。男も開き直る時がある。やわな男ばかりではない。それは自らが闘わなくて、女同士に闘わせる、という策略があるからだ。役者は男の方が一枚上だ。
戦術に強い女も、戦略には弱い。古今東西を通じて、女は男のハラ(胆略)が読めない。

その2につづく

2009年1月27日
紘道館館長 松本道弘