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男の時代 〜 その2 〜

戦術は見える。戦略(strategy)は見えない。Snakeのようにsneakyなstrategyで、女をscrew(だましとる)する知恵は、政治好きな男特有のものだ。だから女が政治やビジネスで頭角を現すには、sleep oneself to the top(ベッドでトップへのし上がる)という非教科書的な英語表現が用いられるのだ。

これが男の世界で勝負する女の性(さが)の悲しさである。ということは、女も男の闘い――とくに戦略――を学ばなければならない。アメリカのビジネスウーマンは、男のライバルに向って、You haven’t got balls.(あんたがたに、××タマあるの)という男表現を平気で用いる。なめられないためだ。

そのために必要なのがディベートだ。
クールな闘いだ。カーッときた方が負けだ。涙を先に流した方が負けだ。
社会に進出するためには、クールな論争といえるディベートを身につけておく必要がある。

ところが私が会った多くの女性でディベートのできる人はほとんどいない――桜井良子を除いて。小池百合子は20代の後半の時に、私にディベートを教えて欲しいと接近してきたが、卒業はしていない。中退までもいっていない。

しかし、桜井良子は、ハワイ大学で自然に身につけている。
ロジック(論理)といっても、知的なものが全てではない。道義という「情理」も加わる。「筋」の通せる女が将として求められる。

筋のある(principled)女性は、日和(ひよ)らない。ぶれない。滅多に、後悔しない。私の元に集まってくる知的女性には、議論をしてもケンカにならないディベートを教える――英語よりも先にだ。

同時通訳者にもディベートを教える。この点、小松達也氏、原不二子氏、新崎隆子氏からも同意を得た。とくに原不二子氏の夫で参謀である、マーチン・ブレーカウエイ氏は、「通訳者に必要なのは、ディベートを通じて自分の頭で考える訓練だ。自分自身の思考がぐらついていて、人の思考が通訳できるわけがないではないか」と、通訳訓練には手厳しいコメントをされていた。

私はグローバル思考を求める人たちに通訳とディベートを勧める。話の流れのわかる人、ロジックがすぐにつかめる人、クールな頭脳を持った人。論理的能力に関しては、本来、男の世界のものだ。女は、防衛本能が強すぎて、攻撃されると感情的になりやすい。
被害妄想が強いからであろうか。

その3につづく

2009年1月30日
紘道館館長 松本道弘