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男の時代 〜 その4 〜

新興宗教の教祖ではないから、必ずしも集客力や動員力を意識しているわけではない。
リーダーシップのある人材だ。その人の徳を見抜く。数でなく質だ。人間を見る。
徳とは、magnet(磁力)である。リーダーがどれほど勲章を持っているか、テレビや週刊雑誌での露出度が高いかというのは、リーダーシップとは無関係だ。

そういうすぐに切れる、いつ切れるのかとビクビクしているバッテリー(電池)人間にはパワーがない。磁石人間が本当の実力者だ。こういうハラのある人物を育てたのは、男の世界であった。この種のハラとなると女性は弱い。

泣いて勝つ。逆ギレしてコワモテさせる女の時代は終わった。ハラでクールに勝負する男の世界で勝負しようではないか。私が欲しいのは、女が動かせる女だ。そして女が男に求めるのは、男を動かせる男だ。勝ち目のないケンカはしない。女は、勝ち目のない相手にでも戦いを挑む――それが女の強さでもあるのだが、それは勇気ではなく無謀という。

たった一度の無謀なふるまいが致命傷になることは、男の社会では常識だ。男の世界では、これは格が違うと思えば、従う。無用な殺生は避ける。謝罪、降参することは、弱さの露呈ではない。強さの証明である。

これが男のハラの世界。自分のため、意地のために、頭を下げるのではない。相手の面子を立てて、謝罪するのも心の余裕の表れである。それも、自分のためではなく、組のため、家庭のために、自らの面子(女の場合は意地か?)を捨てる。ハラが試される男の世界では、いかに優雅に負けを認めるかが肝要だ。

面子にこだわる中国ではそれを度量(タオリヤン)と呼ぶ。東洋はまだ男の世界だ(日本はすでに女の世界になったが)。外交、政治、軍事はまだ男の世界だ。女の時代ということは、これまでの男の時代の知恵を学ぶ時代と言い換えることができる。

その5につづく
2009年2月6日
紘道館館長 松本道弘