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羊の英語 山羊の英語 〜 その4 〜

問題意識とは、curiosityのことだ。しかし羊にとり好奇心はリスクである。羊はリスクを避ける(risk-averse)。羊はgrazers(うつむいて草を食う者たち)だが、山羊はbrowsersだ。

ブラウザーとは、自分で欲しいものを探し出す人のことだ。
与えられた情報だけでは満足しない。
コンピューターの時代、ブラウザーたちは、情報量で勝負し始める。

ますます教材から離れる。今は山羊が厚遇される時代となった。コンピューターのプログラマーは、オタクっぽい人が多い。ヒゲを生やした山羊のような人物ばかりだ。牧師から見れば、地獄に落ちるタイプだ。こういう連中が狼に魅せられると、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズになる。山羊には遊び心がある。

ESSにそんな山羊が一人いた。松山の道後温泉の近くに住んでいる塩入という男だ。ESSの幹部に君臨しながら、いつも狼の私を歓迎してくれていた。道後温泉でヤクザと英語で決闘した時も、私の通訳をつとめてくれていた。

山羊には遊び心(playful spirit)がある。ESSに嫉妬深い人間が多いと聞いているが、私のつきあったESSの連中は、いつも私を歓迎してくれていた。ESSの部室には、English Onlyという看板がかかっている。しかし、みんな日本語でしゃべっている。

ウルフの社会では許されない。日本語なんかしゃべったら、オレたちに食い殺されるぞ、と忠告したことがあった。そういうウルフ君が愉快だったのか、却って私を柵内へ誘ってくれた。ESSは必ずしもsheep societyではない。英語から逃げ、日本語だけで英語を語り合うのがsheep societyだろう。

そして英語を話さない大学の教授たちも羊社会の住民だ。しかし、私が4月から客員教授で教えるAIU(国際教養大学)は、全教授が英語で授業をする。
4年間全て英語オンリーという珍しいウルフ大学だ。

今、たちばな出版でウルフ・イングリッシュの語り下ろし企画の真っ只中にある。次は、ウルフ・イングリッシュについて語りたい。

 

2009年3月20日
紘道館館長 松本道弘