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L語の世界 〜 その2 〜

一神教国ではL語が幅を利かしている。裏(shadow)での道がthe Wayであれば、表(light)ではそれがlien(線)になる。
I’ve crossed the line with him.(あの人と一線を越した)という女性のセリフを最近の映画で学んだ。

しかしブルースの世界は、もっと柔軟で、他の分野にまでcross overする。lineが邪魔になるので取り除け、というのが、ブルース、ロック、ヒップ・ホップ、ラップ、ジャズなどの即興の世界だ。the line(線)を越そうとする、芸術家的衝動が、創造性開発に繋がる。

バラク・オバマは、lineを越えようと、バイパーティザン(超党派)外交を始めたが、それをラッシュ・リンボー(共和党論客)が見逃さない。lineを越すliberalな人間をlineの中に戻さなくてはならぬ、と吼え出し、共和党から熱狂的な支持を得た。

アメリカには、東洋でいう「道」(the Way)という発想がない。だから、右(肯定)と左(否定)との間にlineが引かれ、論争(argument)が絶えない。アメリカ人のdebateが模範的だとは思わない。

反対のための反対というのでは、日本の政界における与野党の対決のようなもので、想像力も創造性も微塵も感じられない。

レベル・ダウンは日本語。レベル・アップも日本語。カタカナ英語は、英語が日本語化されたもの。これを英語だと勘違いしていると、英語力は伸びない。聴き取り能力も落ちる。

ラッシュ・リンボーが吼える。
オバマの政策が失敗する(fail)ことをオレは望む、とズケズケいう。「要するに、オバマはdumbing down public education(公教育をレベル・ダウンさせている)のだ」と行き過ぎたリベラル思考を突く。

正しい英語のダム・ダウンと聞いてピンとこないのは、レベル・ダウンが日本で定着してしまったからだ。

その3につづく

 

2009年3月31日
紘道館館長 松本道弘