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オバマに迫る 〜 その1 〜

浅草のある書店にオバマ・コーナーができている。ここもか。
オバマ・フィーバー(Obamamania)は続いている。
まだあの大統領就任演説と、オバマ英語の解説の本が高積みされている。

オバマの英語を学べば英語がペラペラになるとでもいうのか。ふと、『オバマ英検』なる新書が目に映った。1級、2級、3級とランク別の英語解説があり、思わず吹き出した。うわべをかすめるのが好きな国民だ。

ところで、なぜ笑ったのか。
オバマ英語は24時間で卒業したからだ。忘れもしない1月21日。共同通信の某記者から、午前2時に始まるオバマ就任演説の同時翻訳(同時アップロード)は私が適役だとの話を受け、メンター・ダイヤモンドのプロデューサーが、私に徹夜企画を持ち込んだのだ。

ジャーナリストの帽子をかぶり、一番乗りし、野球のイチローのような気になったものだ。もう、オバマの英語は1日24時間で、終わりにしたかった。しかし、またビッグ・プロジェクトが振って湧いた。

「オバマの本を私が? オバマ・ブームに乗って、オバマ英語の本なんて書きたくない」
「いや、『オバマの本棚』という企画なのです。オバマに影響を与えた30冊(最初は50冊)の本、というテーマで筆者を探したのですが、だれも見つからず……」

私のthe eyes of the hungry wolfがギラギラ輝き出した。世界文化社? これまで係わったことのない出版社だ。NHK元プロデューサーの加藤和さん(名古屋学芸大教授)が風工房の山口さんと話し合っていたときに、この世界文化社企画(植田案)は私のための企画だと意気投合したらしい。時間との闘い? A clock to fight against?

まさに、英語武蔵にとって、身に余る光栄。かといって、30冊を読破しながら、1ヶ月以内で書き上げるという荒技は、英語武蔵しかできないだろう。だれもライバルがいない。だから金メダルはもらえない。しかし私は、サムライ心のシルバーの自負心をもっている。その心はただ一つ。最大の敵は、自分なのだ。

その2につづく

 

 

2009年4月10日
紘道館館長 松本道弘