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オバマに迫る 〜 その3 〜

オバマ攻略はなんといっても、彼が好んで読んだ本、とくに映画化された作品だ。『誰がために鐘は鳴る』、『カサブランカ』。
男も女も、泣かせる作品だ。しかし単なる恋愛ではない。そこに、無私の愛がある。忍ぶ恋もある。それは彼が愛したエマソンの名作『Self-reliance(自助)』にもある。

三島由紀夫が惚れ込んだ葉隠の「忍ぶ恋」は、エマソンも高く評価しているに違いない。自己犠牲の愛。リンカーン、J・F・ケネディー、ガンジー、キング牧師。彼が尊敬している人物は、ほとんど殉死している。死亡願望は、X-dayは?

本文ではそこまで触れるつもりだが、本ブログでは、諮問探偵のシャーロック・ホームズの帽子を脱ぎ、精神分析医のフロイトの帽子をかぶろうかと考えはじめているところでとどめておきたい。

なぜフロイトか。
シャーロック・ホームズは、ある小説によれば、シグムント・フロイトに勝てなかった。演繹推理の天才といえども、そこにどこか欠陥がある。フロイトは、そこを見逃さない。二人はいいライバルになる。

オバマの精神的苦悩は、彼の好きなシェイクスピアの悲劇作品(マクベス、リア王、ハムレット等)をいくら入念に読んでも推理のできるものではない。
オバマは、悩みの多い、複雑な人間だ。

今、彼が書いた『Dreams from My Father』を読んでいるが、人種問題の章にくると、もうお手上げだ。急に、黒人英語が飛び出す。私が急に、関西弁を喋りだしたら、関東人は驚くだろう。ところがオバマの青年時代の英語は、ドロドロした会話調のものだ。

前出の『オバマ英検』には、絶対出せないような、口語的(いや俗語的)なものばかりだ。言語学者ではないが、言葉にはかなり鋭敏な私の分析は、彼が書いた「語り言葉」を逃さない。そこまでオバマに肉迫すれば、もうフロイトの域に近くなる。

 

 

2009年4月17日
紘道館館長 松本道弘