ライターとエディターの関係は、将棋の対局に似ている。チェスではないから、持ち駒を利用することができるので、いかに形勢が不利であっても、土壇場で逆転勝利を決めることができる。
3ヶ月間といえども、最後の数週間が勝負だろう。この盛り上がり(クリティカル・マス)の決め手となるのが、「持ち駒力」だ。風工房(山口・佐々木コンビ)に火がついた。こんな企画は通常ならミッション・インポシブルだろうが、本人が鬼になれば、神が宿ってくれる。
私は縁起をかつぐタイプだ。I believe in omens. I just follow them. とでも訳そうか。今頃読み始めた、オバマのお気に入りの一冊の本、『The Alchemist』(Paulo Coelho)は、こういう「縁起かつぎ」をthe principle of favorabilityと呼んでいる。
初めての企画(私は道なき道を歩いてきたし、今後もそのつもり)は、やるぞという信念を見せれば、神が味方をしてくれる。Beginner’s luckもそうだろう。
神と鬼が一体化する。それを「鬼神」という。単なるdemonではないが、ソクラテスやダビンチを動かしたダイモン(ギリシャ語=霊感)に近い。
オレしかできない。オレができなくてもだれも笑わないって。
それは甘い。私には慰めの言葉にならない。失敗すれば私が私自身の顔にドロを塗ることになる。サムライは、shame(guiltではない)にこだわる。私にホテル缶詰を許した(異例)お施主(世界文化社)に顔向けできないことだけはやりたくない。それがメンツ・ビジネスだ。
その4につづく |