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(おのずから)動(働)く  work 〜 その2 〜

日本的プラグマチズムは「ウ」だ。UのパワーアップしたWだ。アメリカの白人好みの言葉は愛、そして愛国(love of one’s country)だが、アメリカの黒人が抱く、国への思いは昔の祖国で、今の白人支配国ではなく、どこかに愁い(gloom)の霧がかかっている。

日本人のいう憂国に近い。憂うは「ユ」だが憂国の音霊はユが引き伸ばされたユウ(幽)だから、深遠だ。日本の未来を一番憂いているのがお母さんたちではないか。子育て(brooding)と躾(grooming)とウ音が支配する聖職を担っているのだから。オスはメスに食われて死んで胎内の栄養源になるんだから哀れだと歎く。

しかし、メスは「卵を産むまでは死ねないのよ」と反論する。この夏、スズムシたちが私に教えてくれた。
オバマは、巧みにW語を使う。就任演説で、大きい政府か小さい政府かという選択よりも、Does it work? どちらが「うまくいくか」だ、とプラグマチストぶりを発揮した。

多くの翻訳者はto workを「機能する」と訳した。間違ってはいないが、サラーッとし過ぎている。私はこのパワフルなW語のエネルギーをうまく活かせないかと、今でも迷っている。どちらの政府の方針が市民たちのハートに訴えることができるのか。オバマは大衆をwoo(求愛)したのだ。

彼らは、声をあげて歌で返してくれるのか。そして働(ハタをラクにする)いてくれるのか。
歌、謡 ―― うた。ウ、そうして嘘がつけない腹からの声oomphで呼応してくれるのか。ただそのことだけが気になるプラグマチスト。Pragmatistは実用主義者と漢字に訳すと、言霊の感を失う。

UとWの音霊を使えば、mindではなく、heartもsoulも呼応するはずだ。そこにspiritの高揚が可能となれば、人種や国籍の壁などいとも簡単に跳び越えることができる。


2009年9月18日
紘道館館長 松本道弘