オバマのフェイス・ブックによると、彼はキリスト教の信者である。どうもそのようには思えないのだ。遠藤周作によると、自分にとりキリスト教とは、背広のようなもので、時と場合により取り換えのできる衣類のようなものらしい。決して刺青(いれずみ)のように、すことのできない厄介なものではない。事実、遠藤周作の作品を読んでいると、本人はクリスチャンじゃなく、仏教徒のように思えてならない。
オバマも、キリスト教のスーツを召しながら、肉体の一部にイスラム教の刺青をしているような感じがする。英語で言う wolf in sheep’s clothing(羊の皮をかぶった狼)という表現は、適切ではないかもしれないが、オバマ研究が進めば進むほど、キリスト教は、彼にとり一張羅の背広のように思えてくる。
ところで、ホテル缶詰執筆とは便利なもので、邪魔がないだけに仕事に没頭でき、オバマに感情移入しやすい。この時間も、テレビのCNNニュースとFOXインターネット・ニュースを同時にかけっぱなしで、執筆をつづけているが、オバマに対する批判が徐々に高まりつつあるようだ。
「あなたはイスラム信者か。」と問われるたびに、My grandfather was.(祖父はね。)と答えており、イエスともノウとも答えていないが、『Dreams from My Father』を読み進むと、心情的にはアフリカ(ケニア)の価値観に近い、イスラム教に傾斜しつつあることがわかる。イエスという言葉がなく、straight to God(神一直線)という言葉を使っている。空海が、大日如来と直接に交信するといったように、むしろオバマは、本来スピリチュアルな傾向が強いので、ますます密教的な色彩が濃厚になっていく。